『アメリカン・スクール』は、小島信夫の小説である[1]。第32回芥川龍之介賞受賞作。
概要
同書は、1954年にみすず書房より出された256ページに及ぶ小説である[2]。初出は「文學界」1954年9月号。
同作以外にも「汽車の中」「燕京大学部隊」「小銃」「星」「微笑」「馬」「鬼」などの作品と一緒に出版されることが多い[3][4]。
あらすじ
敗戦直後の昭和23年、日本が戦勝国のアメリカ率いる進駐軍に統治されていた占領時代が舞台となっている。新しい日本を築くために英語教育が大事だということから役所に集められた日本の中学校の英語教師たちが米軍基地近くのアメリカの学校を見学することとなった。役所の入り口で長時間待機させられたあと、先生集団はトラックやジープが走行する6キロメートルにも及ぶ軍用道路を歩くことになるが、清潔な服装で身なりを整えるようにという役所の指示のせいで、慣れない革靴を履いていた主人公は靴擦れをおこして動けなくなり、半強制的に英語を話さざるをえなくなってしまう。主人公の教師・伊佐は自分の英語力に絶望しており、絶対に英語をしゃべらないと決め込んでいる状態だが、山田のように先生の集団の中にも英語に自信のある教師もいた。山田は自分たちにも模擬授業をさせてもらえないかと頼み込んだ。結果的に、主人公と英語が得意だと称している先生が模擬授業を行ったらどうかと提案される。しかし、アメリカ人の学校のため、生徒も先生も英語が流暢なのに対して、日本人の英語教師は読み書きの能力があっても、話すことはほとんどできない状態である。そのような日本人英語教師たちが繰り広げる貧しく、滑稽で、不条理で且つ、卑屈な体験を通じて終戦後の日米関係を風刺している[5][6][7]。
受賞・ノミネート
『アメリカン・スクール』受賞・ノミネート歴[8] 年度 | 賞の名前 | 最終結果 |
1954年 | 第1回新潮社文学賞 | 候補 |
第32回芥川龍之介賞 | 受賞 |
脚注
[脚注の使い方]
- ^ “アメリカンスクール(アメリカンスクール)の意味 - goo国語辞書”. goo辞書. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “アメリカン・スクール - 国立国会図書館リサーチ”. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “小島信夫 『アメリカン・スクール』 | 新潮社”. www.shinchosha.co.jp. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “小島信夫 『アメリカン・スクール』 | 新潮社”. www.shinchosha.co.jp. 2020年11月16日閲覧。
- ^ MAGAZINE, P+D (2018年9月20日). “芥川賞作家・三田誠広が実践講義!小説の書き方【第52回】時代と社会を私小説の手法で描く | P+D MAGAZINE”. pdmagazine.jp. 2020年11月16日閲覧。
- ^ Kinokuniya (1201789988). “『アメリカン・スクール』小島信夫(新潮社)”. 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “第19回 小島信夫『アメリカン・スクール』 案内人・島田雅彦(その1)” (jp). Mainichi Daily News. (2016年10月1日). https://mainichi.jp/articles/20161001/ddm/014/070/010000c 2020年11月16日閲覧。
- ^ “小島信夫(こじま のぶお)-芥川賞受賞作家|芥川賞のすべて・のようなもの”. prizesworld.com. 2020年11月16日閲覧。
関連項目
第32回芥川龍之介賞 |
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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1940年代 | |
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1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回) |
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1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回) |
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1980年代 | - 第83回 該当作品なし
- 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回 該当作品なし
- 第87回 該当作品なし
- 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回 該当作品なし
- 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回 該当作品なし
- 第92回 木崎さと子「青桐」
- 第93回 該当作品なし
- 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
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