ステップバイソン

ステップバイソン
アラスカ州立大学博物館(アメリカ)で展示されているミイラの「ブルー・ベイブ」
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ウシ目 Artiodactyla
亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ウシ亜科 Bovinae
: バイソン属 Bison
: ステップバイソン B. priscus
学名
Bison priscus
Bojanus, 1827
英名
Steppe Bison
Steppe Wisent

ステップバイソンBison priscus)とは、第四紀ブリテン諸島ヨーロッパユーラシア大陸日本列島[1]ベーリング地峡北米大陸の草原地帯などで生息していた、ウシ科バイソン属に分類されるバイソンの一種。「バイソン・プリスクス」や「ステップヴィーゼント」等とも表記される。

現生種と絶滅種のバイソン属の大半の祖先である種類であり、「primeval bison(原初のバイソン)」と呼ばれることもある。しかし、他の多くの絶滅種よりも後の完新世に絶滅しており、時期的にも「第四紀の大量絶滅」に該当することから他の多くのバイソン属と同様に人類の影響で絶滅したと考えられる。

分類

ステップバイソンの骨格標本

Bison priscus priscusBison priscus mediatorBison priscus gigas の三亜種が示唆されている[2]

岩手県花泉遺跡から発掘された「ハナイズミモリウシ」はステップバイソンの仲間だと考えられており(日本列島ではステッププバイソン自体も発見されている[1])、同じくオーロックスも発掘されている[3]

彼らは南アジア周辺で進化したと考えられているが、後にしばしばバイソンと混同されるオーロックスもおおよそ同じ地域・時代に現れはじめている。

ステップバイソンは現生種(アメリカバイソンヨーロッパバイソン)と絶滅種の大半のバイソン属の祖先となった。

形態

想像図

体高は2メートルを超え、形態は現代のバイソン、特にシンリンバイソンと酷似している[4]

現在のシベリアモンゴル中国カザフスタン東ヨーロッパなどに分布していた Bison priscus gigas(ギガス種) はとくに大型化が著しく、ユーラシア大陸における最大のバイソン属であった。形態的(体の大きさ・角の長さ)・分布的にも北米に生息したジャイアントバイソンとの類似性が強く(ギガス種の角も長さ210cmに達した)、ジャイアントバイソンは地球史上最大級の反芻類の一種であったことからも、ギガス種も同様の存在であった可能性が高い[5]


発掘

アルタミラ洞窟のステップバイソンを描いた壁画の一つ。

ラスコーアルタミラなどの洞窟壁画に本種が描かれていることがある。

1979年7月、アメリカアラスカ州フェアバンクス北部で、約3万6000年前に亡くなったステップバイソンのオスのミイラが発見された。この個体は、体内のリンが土壌の鉄と反応してビビアンナイト(リン酸塩鉱物)が生成されたことにより、身体が青みがかった色をしていることから「ブルー・ベイブ(Blue Babe)」と呼ばれている。現在、アメリカのアラスカ州立大学博物館で展示されている。

その他

サハ共和国におけるシンリンバイソンの代用導入プロジェクト(ロシア語版)

2006年からはシンリンバイソンロシア連邦サハ共和国にステップバイソンや他の古代種の 代用として再導入されている(ロシア語版)[6][7][8][9]

また、サハ共和国で発見された尻尾などを用いて、ロシア韓国の科学者がクローン技術を用いた復活の可能性を研究している[10][11]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 春成秀爾「更新世末の大形獣の絶滅と人類」『国立歴史民俗博物館研究報告』第90巻、国立歴史民俗博物館、2001年3月、43頁、doi:10.15024/00000978、ISSN 0286-7400。 
  2. ^ Castaños J., Castaños P., Murelaga X., 2016, "First Complete Skull of a Late Pleistocene Steppe Bison ( Bison priscus ) in the Iberian Peninsula", Ameghiniana, 53(5), pp.543-551, doi:10.5710/AMGH.03.06.2016.2995.
  3. ^ 黒沢弥悦、<該当するページが見つかりません>モノが語る牛と人間の文化 ②岩手の牛たち (PDF) 、pp.29-31、LIAJ News No.109、奥州市牛の博物館(家畜改良事業団)[リンク切れ]
  4. ^ Boeskorov, Gennady G; Potapova, Olga R; Protopopov, Albert V; Plotnikov, Valery V; Agenbroad, Larry D; Kirikov, Konstantin S; Pavlov, Innokenty S; Shchelchkova, Marina V; Belolyubskii, Innocenty N; Tomshin, Mikhail D; others (2016). “The Yukagir Bison: The exterior morphology of a complete frozen mummy of the extinct steppe bison, Bison priscus from the early Holocene of northern Yakutia, Russia”. Quaternary International (Elsevier) 406: 94-110. doi:10.1016/j.quaint.2015.11.084. https://doi.org/10.1016/j.quaint.2015.11.084. 
  5. ^ C. C. Flerow, 1977年, Gigantic Bisons of Asia (PDF) , Journal of the Palaeontological Society of India, Vol. 20, 77-80頁
  6. ^ CBC News, "Alberta bison bound for Russia", 14 February 2011
  7. ^ Edmonton Journal, "Elk Island wood bison big hit in Russia", Hanneke Brooymans, 5 August 2010
  8. ^ Edmonton Journal, "Bison troubles", CanWest MediaWorks Publications, 5 October 2006
  9. ^ CBC News, "More Alberta bison to roam Russia", 23 September 2013
  10. ^ The remains of an 8,000 year old lunch: an extinct steppe bison's tail
  11. ^ Cloning ancient extinct bison sounds like sci-fi, but scientists hope to succeed within years
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