ヒメカンアオイ
ヒメカンアオイ | |||||||||||||||||||||
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富山県富山市 2018年3月下旬 | |||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Asarum takaoi F.Maek. var. takaoi[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
ヒメカンアオイ(姫寒葵)[4] |
ヒメカンアオイ(姫寒葵、学名: Asarum takaoi)は、ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑の多年草[1]。ミチノクサイシンを基本種とする変種(Asarum fauriei var. takaoi)とする見解もある[4][5][6][7]。
特徴
茎は地に伏す。茎先から毎年、1-2個の葉を展開する。葉柄は暗紫色から淡緑褐色。葉身は円形または広卵形で長さ4-7cm、幅4-6cm、先端は鈍頭、基部は心形、表面に短毛が密生し光沢はなく、白い雲紋があるものもある[4][5][7]。
花期は2-3月。展開した葉の葉柄のつけ根に花を付ける。花は淡紫褐色で、萼筒は短い筒型または鐘形で、長さ5-8mm、径7-12mm、萼口は広く開き、上端にくびれはない。萼筒内部に縦横に走る隆起した襞があり、縦襞は12-24個、横襞は6個ほどあり、萼筒の大きさにしては数が多く複雑な網目状なる。萼裂片は卵状三角形で開出し、先端はやや鈍頭または鋭頭、長さは筒部と同じかそれより長く、表面は比較的滑らかである。雄蕊は12個あり、短い花糸で子房壁につき、葯は外側に展開する。子房は上位で、花柱は6個あって直立し、その背部が上方に細長く角状に伸び、長さは2.5mm以下であるが先端は筒口付近まで達する。花柱の角状突起は縦に2裂し、ふつう接着しているがときに二又に分かれることもある[4][5][7]。
ギフチョウの幼虫の食草となっている。
分布と生育環境
日本固有種[6]。本州の愛知県・岐阜県・長野県・石川県・富山県・紀伊半島・広島県、四国の高知県南東部に分布し、広葉樹林の林床に生育する[7]。
分類
本種の開花期はふつう早春であるが、秋に開花する集団もある[7]。両集団について、葉や花に形態的な相違は認められないとする見解がある一方[7]、葉や花の形態に地理的変異がかなりあるとする見解がある[5]。いずれにしても、遺伝的な分化の研究や[7]形態の地理的変異の状況把握[5]については今後の調査が必要であるとしている[5][7]。
ギャラリー
- 萼裂片は卵状三角形。萼筒内壁には複雑な網目状になる襞がある。
- 花柱は直立し、先が細長く角状に伸びた付属突起が筒口付近まで達する。
- 萼筒の先端にくびれはない。
- 葉表。
脚注
参考文献
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』2015年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
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