中ノ須
座標: 北緯26度40分34秒 東経127度49分8秒 / 北緯26.67611度 東経127.81889度 / 26.67611; 127.81889
中ノ須(なかのす[1])は、南西諸島の伊江島南方に位置するサンゴ礁で、中ノ瀬(なかのせ[2])とも呼ばれる。かつては島であったが、戦後に入り自然消滅した。
地理
沖縄県国頭郡伊江村に属する[1]。伊江島の南約3キロメートル、本部町の水納島の北約2.5キロメートルの海域に位置する[2]。長径約800メートル、短径約500メートルで[3]、馬蹄状をなす[4]。大潮の干潮時に、周囲約1.5キロメートルのサンゴ礁が海面から出現する[1]。ハマサンゴやミドリイシなどが群生し、スイジガイなどが生息している[5]。段丘状の海底地形が見受けられ、最終氷期以降の海面変動によるものとされる[2]。
周辺海域には魚介類が豊富に生息していることから、地元住民の漁場のみならず、ダイビングスポットとして人気がある[2]。東方に、伊江島と沖縄本島に挟まれた伊江水道があり[1][6]、沖縄県外と往来する貨客船の航路となっている[1]。
歴史
中ノ須は方言で「ナハンシ」といい[1]、「ナカンシ(中干瀬)」、「中央の小さな干瀬」を意味する「ナカビシグヮー」とも呼ばれる[3]。また、海図には「中ノ瀬」とあり、その他「中石」、「中州」とも表記される[1]。『日本水路誌』には「ジプソン嶼」、『ペリー艦隊日本遠征記』所蔵の地図には、サンゴ礁の中央に円形の島が描かれている[3]。
かつてはサンゴ礁の表面に砂が集まって形成された島で、漁師が休憩のために小船を乗り付けていたという[1][5]。クサトベラやグンバイヒルガオなどの植物が生い茂り[1]、大正期にはアダンが生育していたという[5]。しかし、台風による波を受けるたびに砂が流出し、1958年(昭和33年)ごろ以降に島は消滅したとされる[2]。2020年(令和2年)現在、沖縄県によれば、中ノ須は、伊江島と共に伊江村に所属する「島」の一つとして数えられ、その面積は0.33平方キロメートルとなっている[7]。北東に灯標が設置されている[2]。
出典
- ^ a b c d e f g h i 「中ノ須」、角川日本地名大辞典編纂委員会編(1983年)、p.525
- ^ a b c d e f 「中ノ瀬」、公益財団法人日本離島センター編(2019年)、p.1523
- ^ a b c 「中ノ須」、平凡社地方資料センター編(2002年)、p.512下段
- ^ 「本部・水納島」、目崎(1988年)、p.29
- ^ a b c 「幻の「島」お目見え 本部の水納島沖 ナカンシ」『沖縄タイムス』第24533号2017年5月31日、1面。
- ^ 「伊江水道」、平凡社地方資料センター編(2002年)、p.512下段
- ^ 「2. 島しょ」、沖縄県企画部地域・離島課編(2020年)、p.7
参考文献
- 沖縄県企画部地域・離島課編 『令和2年3月 離島関係資料』 沖縄県企画部地域・離島課、2020年。
- 角川日本地名大辞典編纂委員会編 『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』 角川書店、1991年。ISBN 4-04-001470-7
- 公益財団法人日本離島センター編 『新版 日本の島ガイド SHIMADAS(シマダス)』 公益財団法人日本離島センター、2019年。ISBN 978-4-931230-38-5
- 平凡社地方資料センター編 『日本歴史地名大系第四八巻 沖縄県の地名』 平凡社、2002年。ISBN 4-582-49048-4
- 目崎茂和 『南島の地形 - 沖縄の風景を読む -』 沖縄出版、1988年。ISBN 4-900668-09-5
関連項目
外部リンク
- 琉球中ノ瀬灯標 - 沖縄の海の道しるべ(第十一管区海上保安本部)