厳美渓

曖昧さ回避 岩手県一関市の砂鉄川にある渓谷「猊鼻渓」とは異なります。
厳美渓
厳美渓(2023年7月27日)地図
地理
場所岩手県一関市
河川磐井川

厳美渓(げんびけい)は、岩手県一関市にある磐井川中流の渓谷。1927年(昭和2年)9月5日に国の名勝及び天然記念物に指定されている[1]

概要

厳美渓周辺の空中写真。周囲は水田や畑が広がる比較的平坦な地形である。
1976年撮影の3枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

厳美渓のある磐井川は栗駒山を源として北上川に注ぐ川で、その中流付近に位置する厳美渓には主に栗駒山から噴出した軽石凝灰岩が分布しており侵食により渓谷が形成されている[1][2]。全長2キロメートルで奇岩や怪岩に富む[3]

特に厳美渓の河床には、石英安山岩質溶結凝灰岩層に生じた方状節理のひび割れに石が入り込み、岩盤を球状に削り取って形成された無数の甌穴(ポットホール)がみられ、地質学上も貴重な資料となっている[1][2]

古くから景勝地として親しまれており、一帯を治めた伊達政宗も松島と並ぶ二大景勝地としてこの地を賛美している[3]。厳美渓には政宗ゆかりの茶屋跡「臨泉亭跡」がある[2]。また江戸時代には菅江真澄が訪れて歌を残している[2]

1877年(明治10年)8月に明治天皇東北巡幸を行った際、北白川宮が橋から厳美渓を代覧し、この橋は御覧場橋(御覧橋)と呼ばれるようになった[4]。このほか幸田露伴などの文人もこの厳美渓を訪れて紀行文を記している[2]

厳美渓の団子

空飛ぶだんご(2007年9月1日)

厳美渓は名産品の団子でも知られており店によって個性がある[3]

郭公だんご
厳美渓では「空飛ぶだんご」として知られる郭公だんごが名物となっている[3]。これは川を渡したロープで団子と代金の受け渡しを行うものである[2]
詳細は「郭公だんご」を参照
滝見だんご
滝見だんごは1980年頃から厳美渓河畔に創業した団子店で「手切りの団子」で知られた[5]。しかし、店主が高齢となり、2020年12月27日に閉店した[5]

長者滝橋

厳美渓にかかる道路橋。鉄筋の代わりに竹を骨組に用いたコンクリートを用いた竹筋橋1939年の建設時に竹筋使用の証言が残る。1987年の強度調査で竹片が検出されるも、確定までは至らなかった。付近に竹筋説を示す看板が設置されている。1999年に登録有形文化財に登録[1]。

交通

ギャラリー

  • 天工橋からの眺望(2013年8月13日)
    天工橋からの眺望(2013年8月13日)
  • 下流より天工橋を望む(2023年7月27日)
    下流より天工橋を望む(2023年7月27日)
  • 天工橋の上流(2023年7月27日)
    天工橋の上流(2023年7月27日)
  • 天工橋の下流(2023年7月27日)
    天工橋の下流(2023年7月27日)

周辺

出典

  1. ^ a b c “一関の文化財”. 一関市. p. 14. 2024年8月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 加藤碵一. “みちのく石便り(その4)岩手の石と岩”. 地質ニュース606号. 地質調査総合センター. 2024年8月7日閲覧。
  3. ^ a b c d 世界遺産平泉と二大渓谷の旅 一関観光協会、2020年12月30日閲覧。
  4. ^ “新・奥の細道 厳美渓谷のみち”. 岩手県. 2024年8月7日閲覧。
  5. ^ a b 厳美の味 惜しまれつつ 「滝見だんご」閉店、最終日は行列 岩手日報、2020年12月30日閲覧。

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、厳美渓に関連するカテゴリがあります。
  • 厳美渓レストハウス
  • 【探訪】厳美渓 透き通った渓流と名物団子 岩手県一関市 産経新聞撮影 - YouTube

座標: 北緯38度56分35.3秒 東経141度3分2.4秒 / 北緯38.943139度 東経141.050667度 / 38.943139; 141.050667