日本エア・リキード

日本エア・リキード合同会社
AIR LIQUIDE Japan GK.
本社の入居するグランパークタワー
種類 合同会社
略称 ALJ
本社所在地 日本の旗 日本
108-8509
東京都港区芝浦 三丁目4番1号
グランパークタワー
設立 1930年
業種 化学
法人番号 1010401089977 ウィキデータを編集
事業内容 産業・医療ガスの製造販売、産業・医療ガス関連機器の製造販売、産業・医療ガス関連サービス、大型空気分離装置などのプラントエンジニアリング事業
代表者 イリョン・パク (Ilyong Park)
(会長兼CEO
2023年9月1日付人事異動
(引き続きエア・リキード北東アジア太平洋地域バイスプレジデント兼任)
資本金 217億9750万円
売上高 1036億3100万円(2018.12.31)[1]
営業利益 136億1400万円(2018.12.31)[1]
経常利益 165億3800万円(2018.12.31)[1]
純利益 141億5000万円(2018.12.31)[1]
純資産 404億1400万円(2018.12.31)[1]
総資産 1529億0700万円(2018.12.31)[1]
従業員数 連結 約2000人
2021年9月1日
決算期 決算開始日は01月01日
決算末日は12月31日
主要株主 フランスの旗 エア・リキード社 100%
主要子会社 バイタルエア・ジャパン
東芝ナノアナリシス
豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー(49%) 他
関係する人物 ジョルジュ・クロード(仏化学者)
ポール・デローム(仏物理学者)
(1902年、ジョルジュ・クロードが ポール・デロームとともに空気を液化して成分の分離に成功。 これが社名の由来)
大岡昇平(かつての社員で小説家)
外部リンク http://www.jp.airliquide.com/
特記事項:エア・リキードグループは、 フランス パリを本社とし、全世界72か国に展開するガス事業の世界的リーダーであり、創業100年以上の歴史を持つガス事業のパイオニアである。2023年度の連結売上高は、272億ユーロ(日本円で約5兆円)。従業員数は、67,800人。 日本エア・リキードは、1907年に創業。エア・リキード・オペレーション㈱は、1999年、エア・リキード工業ガス㈱は、2009年にそれぞれ創業。
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日本エア・リキード合同会社(にほんエアリキード)は、産業ガスの大手メーカー。大陽日酸エア・ウォーターと並び、日本の3大産業ガスメーカーの1つである。1907年に日本国内で初めて酸素ガスを製造することに成功した。また、日本国内初の液化酸素工場を兵庫県尼崎市に開設した企業であり、戦前および戦後の産業の発展に大きく寄与することとなった。現在、エア・リキードグループの世界シェアは、リンデに次いで2位。2023年9月1日付人事異動でイリョン・パク (Ilyong Park)氏が会長兼CEOに就任[2]

事業内容

  • 産業ガス、医療ガスの製造および販売
  • 産業ガス、医療ガス関連機器の製造および販売
  • 産業ガス、医療ガス関連サービス
  • 大型空気分離装置などのプラントエンジニアリング事業

沿革

  • 1902年 ‐ ジョルジュ・クロード(仏・化学者)が ポール・デローム(仏・物理学者)とともに「空気を液化」して成分の分離に成功、事業化。 これがAir Liquideという社名の由来。
  • 1907年 ‐ 日本初となる空気分離装置を大阪に設置し酸素製造事業スタート(エア・リキード日本進出)
  • 1928年 ‐ 溶接切断実習学校開設
  • 1930年 - エア・リキード社と住友合資会社との共同出資により帝國酸素株式会社設立(本社 兵庫県神戸市)(現日本エア・リキード合同会社)
  • 1934年 - 大阪酸素工業株式会社設立(本社 大阪府大阪市
  • 1943年 ‐ 帝国圧縮瓦斯株式会社に商号変更
  • 1946年 ‐ 帝国酸素株式会社に商号変更
  • 1953年 ‐ 日本初の液化酸素工場を開設(尼崎)
  • 1954年 ‐ 液化酸素を顧客へ直接納入開始
  • 1960年 ‐ 最高純度99.9999%の液化窒素製造に成功
  • 1961年 ‐ 東京証券取引所第2部へ上場
  • 1973年 ‐ 機器製作所を兵庫県播磨に移転し、プラントエンジニアリング事業を強化(現エア・リキードグローバルE&Cソリューションズジャパン株式会社)
  • 1976年 ‐ 東京証券取引所第1部へ指定
  • 1976年 ‐ Nロケット打ち上げ用液化酸素・液化窒素を納入
  • 1981年 - テイサン株式会社に商号変更
  • 1988年 ‐ 日本初のモノシラン製造工場を建設
  • 1994年 ‐ 伊那工場開設。最新鋭の半導体材料ガス工場として操業開始
  • 1998年 - 日本エア・リキード株式会社に商号変更
  • 2003年 - 産業ガス・医療ガス事業を大阪酸素工業株式会社に統合し、ジャパン・エア・ガシズ株式会社が誕生。産業・医療ガスのグローバル・メジャーである、エア・リキード グループとBOCグループの日本における拠点
  • 2005年 ‐ 製鉄オキシトン、日本最大級の最新鋭空気分離装置稼働
  • 2007年‐「日本エア・リキード」と「ジャパン・エア・ガシズ」が統合し、新生「日本エア・リキード株式会社」が誕生
  • 2009年 ‐ グループ内の関連事業を統合し、工業シリンダーガス事業に特化した「エア・リキード工業ガス」を設立
  • 2010年 - 東京都江東区より現在地へ本社を移転
  • 2010年 ‐ 最新鋭の空気分離工場 田原工場稼働
  • 2013年 - 豊田通商株式会社との合弁会社である豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー株式会社[3]を設立
  • 2015年 ‐ 合弁会社「豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー(株)」が燃料電池自動車向けに2カ所の商用水素ステーションを愛知県に開設
  • 2016年 ‐ 佐賀県に「佐賀水素ステーション」を開設
  • 2020年 - 日本エア・リキード株式会社から日本エア・リキード合同会社に組織変更[4]

文学との関係や歴史的背景

大岡昇平の小説『酸素』の舞台となる

かつての神戸本社(右下写真|現 神戸大丸の隣)は、作家 大岡昇平の小説の舞台となっている。彼がフランス語の翻訳係として神戸の帝国酸素(日本エア・リキードの旧社名)に入社したのは昭和13年のことである。さらに昭和30年には、小説『酸素』[5]新潮社より上梓する。以下は、その書き出しの一節。

一人の小男が舷側にもたれ、陸を眺めていた。海はまだ暗かった。波を消された港の水が拡がっていた。ドック、突堤、倉庫、起重機、煙突など、港の水際を形づくる設備が、さまざまの光度の燈火を、飾花のようにつけたまま、次第に輪郭を現わそうとしていた。遠く背景の六甲の山は、茜色にあけかける四月の空に影絵を描き、その襞(ひだ)の文様を明らかにするつもりらしかった。(大岡昇平 著『酸素』第一章より)

以下は、あらすじ。

神戸の〈日仏酸素株式会社〉は海軍と結びついて造船用の酸素を納入していた。その会社にひとりの青年が翻訳係として採用されたが、彼は非合法活動のために特高(特別高等警察)に追われる身だった。日ごとに緊迫の度を増す開戦前夜の暗い時代相の中に、実業家、軍人、地下活動家、女流画家などさまざまに入り乱れる多彩な人物群像、幾重にもからまり合う恋愛心理を冷徹な筆に描く長編。

日本エア・リキードという会社

帝国主義時代の日本において、外資系(フランス系)の企業であることをカモフラージュするためにこの社名(帝国酸素)がつけられた、といわれる。のちに、テイサンと改称。――というのも、帝国酸素は、産業ガス(工業ガスとも)の会社である。当時、この会社の「アセチレン溶接」の技術は、軍部には重宝されていた。特に神戸には、三菱重工神戸造船所、通称|神船(しんせん)があり、そこでは軍艦や潜水艦を建造していた。日本の帝国主義が戦争に向かう中、そんな帝国酸素の技術は、必要不可欠のものであった。テイサンは、外資系ではあるが、一方で神戸の地場産業らしい企業風土も有していた。本社も、神戸市内(右下写真|神戸市中央区磯辺通2-2-15)に置かれていた。その後、東京都港区虎ノ門一丁目の旧日本ガス協会ビルに本社が移転した。そして社名も、日本エア・リキードと改称された。さらにその後、本社が、東京都港区芝浦グランパークタワー(Infoboxの画像参照)に移転し、現在に至る。

事業所

支社

  • 北海道支社 北海道恵庭市戸磯76-28
  • 北日本支社 新潟県新潟市新光町16-4(荏原新潟ビル内)
  • 北関東支社 埼玉県東松山市新郷75-1
  • 東京支社 東京都港区芝浦3丁目4-1
  • 中部支社 愛知県名古屋市南区丹後通5丁目1-12
  • 近畿支社 兵庫県尼崎市南塚口町4丁目3-23
  • 関西支社 兵庫県神戸市兵庫区浜中町2丁目18-6
  • 中国支社 岡山県倉敷市水島西通1丁目1932番
  • 四国支社 愛媛県新居浜市一宮町1丁目5-50(新居浜ビル内)
  • 九州支社 福岡県福岡市博多区東那珂1丁目14番20号
  • 南九州支店 熊本県合志市福原三ッ迫1-32

支店

  • 東北支店 宮城県白石市福岡深谷字街道外沖16-1
  • 北陸支店 富山県富山市新根塚町2丁目1-6(新根塚オフィスビル内)

主な関連会社

所有する液体ヘリウム輸送用コンテナ。貨物船に積載し海上輸送。
大岡昇平帝国酸素に入社した1938年(昭13)当時の本社ビル。現在の神戸市中央区明石町38。神戸大丸のすぐ南側で東南角地に建つ。当時のビルがそのまま残っている。
左タワーで大気中からO2、N2、Arを深冷分離してタンクに貯蔵。
燃料電池自動車向けの商用水素ステーション開設。写真は、デュッセルドルフ(ドイツ)の場合

プラントエンジニアリング

  • エア・リキード グローバルE&Cソリューションズジャパン株式会社

販売

  • エア・リキード工業ガス株式会社
  • 高松帝酸株式会社
  • 京都帝酸株式会社
  • 株式会社エア・ガシズ北九州
  • 京葉帝酸株式会社
  • 浪速酸素株式会社
  • 福豊帝酸株式会社
  • ティー・ティー・テック株式会社

液化ガス製造

  • 川崎オキシトン株式会社
  • 四日市オキシトン株式会社
  • 製鉄オキシトン株式会社
  • 株式会社水島オキシトン
  • 松山オキシトン株式会社
  • 北九州オキシトン株式会社
  • 熊本オキシトン株式会社
  • 鹿児島オキシトン株式会社
  • 東京液化酸素株式会社
  • 衣浦工業ガス株式会社

各種ガス製造

  • 内浦ガスセンター株式会社
  • 株式会社エッチ・ビー・アール

充 填

  • 株式会社ゼネラルガスセンター
  • 株式会社関西ガスファースト
  • 姫路ダイサン株式会社
  • 横浜ガスサービスセンター株式会社
  • 新潟アイ・ジー・エス株式会社
  • 東海ガスユナイテッド株式会社

サービス・その他

  • バイタルエア・ジャパン株式会社
  • 東芝ナノアナリシス株式会社
  • エア・リキード・オペレーション株式会社
  • テーエス運輸株式会社
  • 豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー株式会社

出典

  1. ^ a b c d e f 官報決算データベース 日本エア・リキード株式会社 第99期決算公告
  2. ^ “日本エア・リキードCEOにパク氏”. 日本経済新聞. 2023年9月27日閲覧。
  3. ^ https://www.toyotsu-airliquide.com/ 左記が、当該企業の公式ウェブページ。ここに、設立は、2013年11月28日。現在の株主は、豊田通商株式会社(51%)、日本エア・リキード合同会社(49%)。資本金は、4億9500万円、であることなどが記載されている。
  4. ^ 『合同会社化のお知らせ』(プレスリリース)日本エア・リキード合同会社、2020年1月1日。https://industry.airliquide.jp/20200101godo2020年4月26日閲覧 
  5. ^ https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000934437-00 左記は、国立国会図書館オンラインの検索結果。ここに、大岡昇平の小説『酸素』の詳細が掲載されている。
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外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、日本エア・リキードに関連するメディアがあります。
  • Air Liquide S.A.
  • 日本エア・リキード株式会社
  • ジャパン・エア・ガシズ社
  • エア・リキード工業ガス株式会社
  • バイタルエア・ジャパン株式会社
  • 東芝ナノアナリシス株式会社