熊宗立

熊 宗立(ゆう そうりゅう・ゆう そうりつ、1409年 - 1481年)は、医家儒家・出版事業者である。医学書である『医書大全』の出版で知られる。

生涯

熊宗立の生涯に関するまとまった資料としては、末裔の熊徳留が所持する『潭陽熊氏宗譜』が知られている[1]福建建陽の人であり、宋末の儒家である熊勿軒(中国語版)の後裔として[2]永楽7年(1409年)7月7日に誕生する。は道宗であり、道軒・勿聴の号を有した[1]。種徳堂なる書堂を営み、医薬書をはじめとする書籍の校訂出版事業をおこなった。宗立の出版した書籍は後世に伝わるものでけでも40種に及んだ。代表的な著作は正統11年(1446年)の『医書大全』であり[2]、孫允賢の『医方集成』を、熊氏の先代にあたる熊彦明が増補したものを、宗立がさらに補訂したものである[3]成化17年(1841年)に73歳で死去し、銭塘焦湖山に葬られた[1]

影響

宗立の影響は、中国よりもむしろ日本において著しかった[2]。『医書大全』は文明期に日本にも伝来し、堺の医家である阿佐井野宗瑞により復刻された。医学全分野に関する知識を平易に語った同書は、日本で出版されたはじめての医学書であり、室町時代の医学界に強い影響を及ぼした[3]。また、日本で出版された第2の医学書である『勿聴子俗解八十一難経』も、宗立の手掛けた書籍であった[2]

出典

  1. ^ a b c 小曽戸洋・王鉄策「熊宗立伝-判明した生没年」『日本医史学雑誌』第45巻第2号、1999年4月20日、298–299頁。 
  2. ^ a b c d 「岩波 世界人名大辞典」『ゆうそうりつ【熊宗立】』岩波書店。 
  3. ^ a b 大塚恭男「医書大全」『国史大辞典』吉川弘文館