眠るアモール (カラヴァッジョ)

『眠るアモール』
イタリア語: Amorino dormiente
作者カラヴァッジョ
製作年1608年
寸法72 cm × 105 cm (28 in × 41 in)
所蔵パラティーナ美術館 (ピッティ宮殿)、フィレンツェ

眠るアモール』(ねむるアモール、イタリア語: Amorino dormiente)は、イタリアバロック期の巨匠カラヴァッジョによる絵画。フィレンツェピッティ宮殿内にあるパラティーナ美術館に所蔵されている。

カラヴァッジョの多くの作品とは異なり、この作品は正確な制作年代がわかっている。マルタ騎士団の統領であるアロフ・ド・ヴィニャクールからイタリアのフィレンツェ出身の書記かつ騎士であったフラ・フランチェスコ・デランテッラのために委嘱され、絵画の裏面には1608年にマルタで描かれたという古い碑文が記されている。

アモールは、愛の象徴である。弦が折れ、矢が脇に投げ出されているという眠るアモールの主題は、情熱に惑わされることなく理性が働いている状態を表す。言い換えるなら世俗的な喜びの放棄を意味しており、デランテッラは、騎士にふさわしい貞操の誓いを思い起こすために絵画を依頼したのかもしれない。眠るアモールという主題には古代彫刻やミケランジェロの作品などの先例があるが、カラヴァッジョのこの絵画には実際に幼児が寝ているかのような現実感がある[1]

脚注

  1. ^ カラヴァッジョへの旅-天才画家の光と闇、宮下規久郎、2007年刊行、角川学芸出版、186-187頁 ISBN 978-4-04-703416-7
1600年以前の作品
  • 病めるバッカス』(1593年頃)
  • 果物籠を持つ少年』(1593年頃)
  • トランプ詐欺師』(1594年頃)
  • 『悔悛するマグダラのマリア』(1594年–1595年頃)
  • 『奏楽者たち』(1595年頃)
  • トカゲに噛まれた少年』(1594年–1596年頃)
  • 『バッカス』(1596年頃)
  • ユピテル、ネプトゥヌスとプルート』(1597年頃)
  • 『メドゥーサの首』(1597年-1598年頃)
  • 『アレクサンドリアの聖カタリナ』(1598年頃)
  • 『マルタとマグダラのマリア』(1598年頃)
  • 『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』(1598年-1599年頃)
  • 『ダヴィデとゴリアテ』(1599年頃)
1600年-1606年の作品
  • 聖マタイの召命』(1599年-1600年)
  • 『エマオの晩餐(ロンドン)』(1601年)
  • 愛の勝利』(1601年–1602年)
  • 『聖トマスの不信』(1601年–1602年)
  • 『キリストの捕縛』(1602年頃)
  • 『祈る聖フランチェスコ』(1602年-1604年頃)
  • 『キリストの埋葬』(1603年–1604年)
  • 『聖母の死』(1604年-1606年頃)
  • 『ロレートの聖母』(1604年-1606年頃)
  • 『聖アンナと聖母子』(1605年–1606年)
  • 書斎の聖ヒエロニムス』(1605年–1606年頃)
  • 『エマオの晩餐(ミラノ)』(1606年)
  • 『キリストの荊冠』(1604年あるいは1607年)
1607年以降の作品
  • 『ロザリオの聖母』(1606年–1607年頃)
  • 『キリストの鞭打ち』(1607年)
  • 『慈悲の七つの行い』(1607年)
  • 『聖アンデレの磔刑』(1607年)
  • アロフ・ド・ヴィニャクールと小姓の肖像』(1607年–1608年)
  • 『洗礼者聖ヨハネの斬首』(1608年)
  • 『眠るアモール』(1608年)
  • 『ラザロの復活』(1609年頃)