郷長

郷長(ごうちょう)とは、古代日本において、律令制の末端組織であるを統べる官職である。郷がと呼ばれていたときには里長(さとおさ/りちょう)と呼ばれていた。

概要

里長は郡司の管轄下にあり、の取り立て・出挙の管理などを主な職務としており、当地の有力農民から選ばれ、雑徭を免除された。

奈良時代初期の霊亀元年(715年)に里がと改名されたのに伴い、郷長と改称された。また、里(郷)が50戸で編成されていたことから、五十戸長と書いて「さとおさ」と読ませる場合もあった(『万葉集』巻5)。平安時代初期まで土地売券などに郷長の連署証判が見られる。その後、10世紀から11世紀にかけての国衙機構の再編成とともにその多くが姿を消し、伊勢神郡などで例外的に残るだけになった。

参考文献

  • 米沢康「郷長」『国史大辞典 5』(吉川弘文館 1985年) ISBN 978-4-642-00505-0
  • 原秀三郎「郷長」『日本史大事典 3』(平凡社 1993年) ISBN 978-4-582-13103-1
  • 中野栄夫「郷長」『平安時代史事典』(角川書店 1994年) ISBN 978-4-04-031700-7
  • 小林昌二「郷長」『日本歴史大事典 2』(小学館 2000年) ISBN 978-4-09-523002-3
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