高級オーディオ

高級オーディオ（こうきゅうオーディオ）とは、Hi-Fiを追求する目的、あるいは、オーディオマニアの自分なりの好みの音質を実現する目的で構成された、趣味性の強いオーディオシステム、および、それを構成する各々の音響機器群のことを指す。典型的には、高価格帯の機器で構成されるコンポーネントステレオのことである。高級オーディオの世界には家電量販店でも取り扱う一般的に有名なメーカーであるソニーやオンキョーやデノンなどの他にも高級オーディオ専門のメーカーが多数参入しており、例えばマランツやタンノイやアキュフェーズなどオーディオ専門店かWebサイトでなければ見られないメーカーも多数存在する。高級オーディオの中でもピュアオーディオが典型的で、前述のメーカーもピュアオーディオを志向した製品を数多く発売している。但し、2010年代後半以降は娯楽が多様化した上に、スマートフォンとイヤホンの組み合わせでも十分高音質に音楽を聴けるようになったため、音楽鑑賞という趣味自体が下火となり、オーディオ専業メーカーの経営破綻も相次いでおり、高級オーディオというジャンル自体が終息に近づいている^[1]。

据え置き型のステレオスピーカーと専用コンポーネントの構成を前提とするためオーディオシステムがかなり大掛かり^[2][3]になり、正しい利用方法で機器の性能を発揮させるためには多少なりとも電子回路・信号処理についての専門知識が要求される^[4]他、性能維持のための定期的なメンテナンス^[5]を行ったり、音響特性を考慮した専用のオーディオルームを用意する必要も出てくる^[6]。

スピーカーペアに360万円^[7]，クリーン電源（ノイズ除去機能を搭載した電源タップ）に約39万円^[8][9]、プリメインアンプをプリアンプとパワーアンプに分離する、CDプレイヤーをCDトランスポート、DAコンバータ、マスタークロックジェネレータに分離するなど、電源からスピーカーに至るまで合計して1000万円以上^[10]を投資する事もある。

再生するオーディオデータの品質やオーディオ機器の物理的な構造や人間の聴覚にも限界はあり、システム全体で数百万円以上の価格になると、それ以上の追加投資を行っても改善幅は小さくなるため、コストパフォーマンスも急激に悪化する。中にはピュアオーディオの宗教性に付け込んだオカルト的な製品や、明らかに過剰スペックな人間の聴覚を遥かに超えた微妙な数値改善しか期待できない製品も存在し、オーディオマニアが大金を払ってそうした製品を自身のシステムに導入しプラシーボ効果で改善したと思いこんでしまう例もある^[11]。あるいはオーディオ用には適さない軍事用ケーブルをオーディオ用として高価格で売り付ける例もあるなど、異分野の表層的なイメージを利用して誤った製品選定を促すような商法も存在する^[12][13]。オーディオプレーヤーであるFrieve Audio^[14]を開発したFrieve-A氏は音の空気伝搬の際に混入する外来ノイズや歪みを排除できることを主な科学的証拠として、数百万円もするような高額な据え置き型スピーカーよりも、手軽に入手できるノイズキャンセリングヘッドフォンの方が総合的な再生品質で大幅に優れており将来も有望であると言い切っている^[15]。

音楽制作で音声データをモニターして音声品質を正確に把握するためのプロオーディオも機材価格が高い傾向にあるが、この記事で主に述べた聴き心地の良さを追求するリスニングのための高級オーディオとはまた異なるジャンルである^[16]。

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